先日、コーチAで行われた、ICF(国際コーチ連盟)のマスターコーチである、マーガレット・クリグバウム女史のトレーニングに参加してきました。
2007年にも彼女のトレーニングに参加したことがあり、そのことは
このブログでシェアさせていただきました。
昨日のトレーニングのテーマは「ダンボの耳 コーチとしての聞く力を強化する」でした。
最初にアフリカのズール族が交わす挨拶言葉が紹介されました。
直訳すると、「私はあなたのことを聞いています」という言葉だそうです。
彼女はこう続けます。「なんと美しい心でしょう」と。
聞くことは、素晴らしいヒューマンスキルのひとつであるし、相手にとって「私は聞かれている」という素晴らしい体験を提供できるものだと。
そして、彼女はこのトレーニングのゴールは「聞くことに対する愛情が深まることだ」と伝え、トレーニングが開始されました。彼女らしい、人間味あふれるゴール設定だなと思いました。
そのゴールに向けて、彼女が提示した第1問は、以下の問いでした。
Q1: あなたは、よりよく聞くために -より深く、より丁寧に聞くために- どういう存在である必要があるか?
第一問から、彼女はテクニックとかスキルのレベルではなく、存在、心構え、あり方のレベルへ私たちを招き入れてくれました。
何人かのコーチが手をあげ、自分の考えを述べた後、私も心に浮かんだ言葉を発言してみました。
「この人にだったら、自分のこと、自分の感じていることを正直に話せそうだな、と思ってもらえる存在でありたい」と。
マーガレットさんは、静かに優しくうなずいて、こう言ってくれました。
「こう言い換えることは出来ますか? 私は安全(safety)な存在でありたい。 この言葉はあなたにフィットしますか?」と。
このような丁寧な言い回しに、私はマーガレットさんに聞いてもらっているな、という感覚が生まれていきました。
第二問目は、以下の問いでした。
Q2: あなたは、話を聞く相手のことをどのようにとらえたい(hold)ですか?
一問目は自分としてどういう存在でありたいか、でした。
二問目は、相手の人をどのような存在であると受けとめますか? という意味だと受け取りました。
私が思ったのは、次のようなことでした。
・「何を話そうとも、何を言おうとも、その人はすでに素晴らしい存在であり、変わってもいいし、変わらなくてもいい」
・「私にとって、多くの発見や気づきを与えてくれるありがたい存在。感謝の心やRESPECTの心をholdしていたい」
数名のコーチとのやりとりの中で聞こえてきた言葉の中で、私は彼女らしいなあと思ったのは次の言葉でした。
「私に向かって話そうということを選択してくれたクライアントさん・・・・」
「聞かせてもらうという権利を与えてくれたクライアントさん・・・・」
この素敵な謙虚さ、相手に対するRESPECTの気持ちはどうやって育まれてきたのかな~と思いました。
そのほか、自分のノートに埋まっている彼女の言葉を紹介させていただくと、自分には以下の言葉がヒットしていたようでした。
・卓越した聞き手になるためには自分でなく、相手に焦点を合わせることが大切。
・自分の中に相手のストーリーを招き入れるだけの膨大な空間を用意する必要がある。そして、その空間の中にあなたがいるように準備をしてください。
・相手の言うことがあなたの中に染みこむ時間を持つ必要がある。
・何も思い浮かばない瞬間を恐れないでください。
・相手のためにスペースを空ける必要がある。その目の前の空間を自分事で埋めたいという誘惑に負けない必要がある。
・・・・etc
最後に、彼女は3つ目の質問を出しました。
Q3:よく聞いてもらえたと思ってもらえるために、あなたは何を聞くべきですか?
もちろん、ここでの「聞く」は、「尋ねる」という意味ではなく、どこに「意識を向けて」話を聞くかということです。
どこに向けてダンボの耳を傾けるかということです。
会場からさまざまなコーチの意見を聞いたあと、彼女が自分として意識しているポイントを紹介してくれました。それは次のようなポイントでした。
・クライアントの話を聞きながら、どこからパートナーになれるか、どこから関わることが出来るかを意識して聞く。
・クライアントがこのセッションをどのように進めたいかと思っているかを聞く。
・クライアントはどのように学ぼうとしているかを聞く。
・クライアントが何を達成しようとしているかを聞く。
・クライアントがすでに知っているところは何かを聞く。
・クライアントの中でどこが不確かなところかを聞く。
・クライアントの話している大きなテーマは何かを聞く。
大きなテーマは繰り返しのなかにある。
そこにはパタンがある。
あっという間の3時間でした。
次に会えるのはいつだろう?。
その時までに、私の「聞く力」が育ち、今日聞けなかった次のレベルの話をこの次は聞きたいなと思いました。